北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
比較文學者で、映畫史家の四方田犬彥さんに引き続きお話を伺います。先週の番組では、四方田さんに子ども時代の映畫鑑賞體験、中國の第五世代監督の映畫との出會い、一帯一路のスタート地點である西安での見聞、そして、『日本映畫史110年』など一連の映畫史著書の執筆によせた思いなどを伺いました。
今週は四方田さんの目に映った映畫の本質、また、映畫鑑賞が面白くなる一押しの鑑賞法などをめぐり、引き続きインタビューします。
外國映畫を見る時、蕓術性の高い映畫がより注目されている傾向に対して、四方田さんは「その社會の外側に出ることはないが、內側で皆が共感している映畫もある。それは監督とか作家の映畫ではなく、俳優の映畫です。ただ、蕓術的な映畫は世界中に見ることができますが、ローカルな、國內の映畫はその國の中でしかみることができない」と指摘した上、「一般大衆に良く見られている映畫、民衆のための映畫もまた、その國の映畫の一つである、そのことを忘れないで欲しい」と強調していました。そして、映畫研究の極意について、「作品ではなくて、見ている人點の心の歴史に到達できれば、映畫研究は最終目標に達したと思います。映畫の作られたものだけを分析しておしまい、というのではなく、それを見た人間の感動の分析までいかないと、映畫研究は完璧なものにならない」と強く主張します。
戦後の日本で映畫と共に育ち、映畫を心から愛している學者の胸中の思いを、今週も引き続きお話を伺います。
【プロフィール】
四方田 犬彥(よもた いぬひこ)さん
比較文學者、映畫史家。
専攻は比較文學、映畫史、漫畫論、記號學。
1953年大阪府箕面生まれ。東京大學で宗教學を、同大學院で比較文學を學ぶ。エッセイスト、批評家、詩人。文學、映畫を中心に、多岐にわたる今日の文化現象を論じる。明治學院大學、コロンビア大學、ボローニャ大學、テルアヴィヴ大學、中央大學(ソウル)、清華大學(台灣)などで、映畫史と日本文化論の教鞭をとった。
著書は140冊に及び、この中の4冊が中國で翻訳出版。うち、『映畫史への招待』でサントリー學蕓賞を、『モロッコ流謫』で伊藤整文學賞を、『翻訳と雑神』『日本のマラーノ文學』で桑原武夫學蕓賞を、『ルイス・ブニュエル』で蕓術選奨文部科學大臣賞を受けた。詩集に『人生の乞食』『わが煉獄』が、訳書に『パゾリーニ詩集』他がある。
【リスナーのお便りから】
四方田さんのお話で、「壽司はどうして2個出てくるか」、一個目はご挨拶でするりと食べてしまうので、2個目はゆとりを持って味わうため…という説明が、いかにも説得力があり、映畫は二度見ればしっかり味わえるんだ! と、納得したのですが、念のために調べたら、昔の壽司は大きくて、現在の2倍以上あったそうで、明治になると、食べにくいので、二つに切って出され、今に続いているという事です。
結局、映畫も大きすぎるのだと思いました。同じモノを何度でも見れば見るほど、見る人の深い心と化學反応を起して美味しさが増すのだと、自分勝手に四方田さんのお話に刺身醤油を付けて聞いていました。
古い友情、詩を書くこと、夕陽を見ること、、、確かにただでできる価値あることですね。楽しいインタビューでした。(名古屋・ゲンさん)