北京
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今年3月、米國の貿易代表が通商法301條を発動して中國との貿易戦を起こしたが、その1カ月前に、在中國米國商工會議所が、中國のビジネス環境に関するアンケートの結果を発表した。これによると、去年、中國で利益を得た米國の企業は73%、今年に中國への投資拡大を予定している企業はここ數年で最高の74%、また會員企業のうち中國を投資先の上位3地域に數えている企業は約60%、そして向こう3年間で中國がさらに外資への開放をしていくと答えた企業が46%、また、中國政府の打ち出す政策の透明性がここ5年間で増していると答えた企業が62%であった。以上のことから、中國に進出している米企業の大部分は中國市場に期待していることが分かる。
中國商務部によると、今年上半期、新たに中國に進出した企業は前年比96.6%増の29591社であった。また投資実績額は前年比4.1%増の683億2000萬ドルで、國別では、米國が同29.1%とかなりの伸びを示している。
中米間の貿易戦によるこれらの外資係企業に対する影響はすぐには出ないと見られるが、以上のデータから、貿易戦でダメージが発生すると見られていながら、各社とも中國進出に自信を持っていることが分かる。こうした自信は、以下の5點が根拠となっている。
まず、中國は生産・消費がともに成長すると見られている。2030年には、中間所得層が全世界で49億人に達し、うち3分の2がアジア、それもほとんどが中國にいると見られる。こうしたチャンスはすなわち、中國市場の開放性を示したもので、多國籍企業が中國でビジネス展開を望む大きな要因となっている。また、在中國日本商工會議所がまとめた、中國経済と日本企業に関する最新の白書によると、ロボットや部品の製造に対する日係企業の投資が増え、またサービス業や小売業などへの投資も増え続けているという。すなわち、日係企業による中國ビジネスは、これまでの輸出主導型から中國消費型へとシフトしていることが分かる。
次に、中國にはトータル的な産業チェーンがあり、外國企業の生産をしっかり支える體制が整っている。たとえば、ライターのようなちっぽけな物でも、プラスチックケースや鉄製カバー、火打石などそれぞれ各部位の産業を頼りに、低価格で世界のニーズに応えている。
3つ目に、中國の大きな生産能力と先進國の革新は相互に補い合える。
4つ目に、グローバル経済の緩やかな回復により、中國は外國企業を導入しやすくなっている。國際通貨基金(IMF)によると、今年のグローバル経済の成長率は3.9%とのことである。
5つ目に、中國は確実に対外開放を続けている。先月28日に、外國企業の參入について定めた今年度の特別管理ルール(ネガティブリスト)が正式に実施された。去年は63件あった規制內容が15件減り、また様點な分野を開放している。
中國は、経済が安定して推移すれば、巨大な市場やトータル的な産業を備えていることから、引き続き外資を導入できるはずであり、貿易戦により外國企業の誘致に支障が生まれるなどといった理由は成り立たない。(文責:中國人民大學経済學院教授、國家発展・戦略研究院研究員 程大為)