「二つの40週年記念」ポリオ撲滅の中日醫療協力~拓殖大學・岡田実教授に聞く(下)

2018-10-16 20:28  CRI

圖片默認標題_fororder_IMG_1476.JPG

00:00:00
00:00:00

 改革開放40週年と中日平和友好條約締結40週年という二つの40週年記念企畫の続きです。今回は1990年代初頭、中日が連攜して山東省でのポリオ(小児マヒ)撲滅に向けた取り組みをめぐり、引き続き岡田教授にお話を伺います。

 「ポリオ」は「小児マヒ」の通稱で知られ、ポリオウイルスによって引き起こされ、手足に急性麻痺が現れる感染症です。特に5歳以下の子どもがかかることが多く、一旦かかりますと、治療では治すことができず、予防が唯一の効果的手段とされています。

 日本では、ポリオは1960年代に姿を消しましたが、世界ではその後も猛威をふるい続けていました。中國の場合、1960年代に生ポリオワクチン( OPV)の投與を始め、感染狀況が大きく改善されたものの、1980年代末、農村部を中心に再び流行の拡大という狀況が起こりました。これを背景に、1988年7月、中國衛生部は「1988~1995年全國ポリオ撲滅行動計畫」を作成し、國際機関や日本等との連攜と援助の受入れを始めました。

圖片默認標題_fororder_1

山東省でワクチン投與狀況を調查中の中日混成チーム
(資料寫真提供:岡田実)

 1990年11月、日本の元國立病院機構八雲病院病院長・千葉靖男氏他がJICA(國際協力機構)の長期専門家として中國に派遣されてきました。その時から、両國の専門家・関係者からなる混成チームは、山東省の農村の深層に分け入り、ひたむきに真実を追究します。協力が奏功し、一時期蔓延していたポリオは90年代半ばには急速に収束に向かいました。

 1998年1月、中國衛生部は著名な科學者5名で構成される國家ポリオ消滅実証委員會を立ち上げ、2000年7月、中國ポリオ消滅実証報告を世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(WPRO)に正式に提出しました。同年10月、「西太平洋地域ポリオ根絶京都會議」が開催され、西太平洋地域におけるポリオ消滅宣言が行われました。中日混成チームは、どのようにポリオ撲滅に取り組み、なぜこの奇跡を成し遂げることができたのか。當時、日本のJICA北京事務所に勤務していた岡田氏は、このプロジェクトの一部にかかわっていました。今回の番組では、岡田氏に當時の思い出と共に、中日雙方が提攜してきた足跡を追ってもらいます。

【インタビュー內容の抜粋】

 岡田氏は、のちに、『ぼくらの村からポリオが消えた—中國・山東省発「科學的現場主義」の國際協力』という著書をまとめるため、當時の中國衛生部防疫司の司長をインタビューしました。當時のことについて、岡田氏は次のように話しています。

 「視察のあと、千葉先生らが、後海にあった舊衛生部まで報告に來られました。特に印象に殘っているのは、現場の仕事を重要視され、山東省の基層レベルの衛生部門や子供の狀況をしっかり把握していたことでした。千葉先生からは、現地の仕事の基本的な狀況や、醫療従事者の不足、機材の老朽化など、一連の問題點の報告を受けましたが、彼が特に強調していたのは、現地の庶民の生活狀況でした。報告の途中で、千葉先生は聲を詰まらせ、目に涙を浮かべられたのです。子供がポリオに罹った家庭の狀況は、悽慘の一語に盡きます。治療のために全財産を注ぎ込んでも、ほとんど効果がない。しかも、子供には、重い障害だけでなく生活の困窮までもがのしかかってくるのです。こんな狀況に、千葉先生たちは心からの同情を示されました。その様子は、心の內面から湧き出たものだと感じられました。通り一遍の視察ではなく、非常に踏み込んだ調查を実行して現実を正確につかんだうえで、心から助けたいと思ってくださった。“助けてあげる”といった上からの目線ではなく、同じ人間として。また、先生方の學術レベルの高さからは、日本政府・JICAの誠意を感じました。これによって、我點と彼らとの間に、強い信頼、尊重、友好の基礎が固まったのです」

推薦文獻:

(日本語)

圖片默認標題_fororder_2

『ぼくらの村からポリオが消えた—中國・山東省発「科學的現場主義」の國際協力』(岡田実著、佐伯印刷出版事業部、2014)

(中國語)

圖片默認標題_fororder_3

《日本對華無償援助實錄》(周冬霖著、社會科學文獻出版社、2005)
《中日技術合作的背後——我所了解的日本JICA人》(周冬霖著、天津教育出版社、2010)

【プロフィール】

岡田 実(おかだ みのる)さん

圖片默認標題_fororder_IMG_1472.JPG

拓殖大學國際學部 教授

専門分野:現代中國、日中関係、対外援助、國際協力

 東北大學法學部卒業後、民間企業勤務を経て、1988年に國際協力事業団(JICA)入職。JICAでは北京大學留學、中國事務所員、中國援助調整専門家、中國事務所副所長として約10年間対中政府開発援助(ODA)に従事した他、本部、外務省経済協力局、JICA研究所等で勤務。

 2010年、法政大學大學院で政治學博士號を取得し、2012-13年度法政大學法學部兼任講師。2014年度より現職。現在、大學で教鞭をとるかたわら、NPO法人日中未來の會、一般社団法人國際善隣協會などで日中民間交流活動に參加している。

【主な著書】

『日中関係とODA—対中ODAをめぐる政治外交史入門—』(日本僑報社、2008年)

『「対外援助國」中國の創成と変容1949-1964』(お茶の水書房、2011年)

『ぼくらの村からポリオが消えた—中國・山東省発「科學的現場主義」の國際協力』(佐伯印刷出版事業部、2014年)

ラジオ番組
10月29日放送分
00:00:00/00:00:00
  • ハイウェイ北京<月曜日>の擔當者 劉叡琳_fororder_週一劉睿琳130
  • ハイウェイ北京<火曜日>の擔當者 王小燕&斉鵬_fororder_週二小燕齊鵬130
  • ハイウェイ北京<水曜日>の擔當者 謝東&劉非_fororder_週三謝東劉非130
  • ハイウェイ北京<金曜日>の擔當者 劉叡&孟群_fororder_週四劉睿孟群130
  • ハイウェイ北京<金曜日>の擔當者 任春生_fororder_週五任春生130
  • ハイウェイ北京<週末篇>_fororder_北京直通車週末篇
特集ダイジェスト
最新コラム
新華社_fororder_12日中友好協會_fororder_11人民網日本語版_fororder_10人民中國_fororder_9中國網日本語版_fororder_8東方網日本語版_fororder_7JAPAN online_fororder_5
UTYテレビ山梨_fororder_4中華網日本語版_fororder_3東方通信社_fororder_2中國百科検定_fororder_132959111934859451北京観光_fororder_1
李陽