北京
PM2.577
23/19
ペンス米副大統領が十月上旬に「反中檄文」を発表し、中國に対し「米中間選挙に幹渉している」、「國際秩序に挑戦している」、「台灣海峽の安全を脅かしている」等、様點なレッテルを貼り付けたと思いきや、ここ數日、米軍の台灣問題でのアピールが頻度を増している。こうした動きは、中米関係と両岸関係に揺さぶりをかけるだけではなく、危機を醸成する虞れすらあるものだ。
米側が「台灣カード」を切ることは國內問題を転嫁するものであり、中米のゲームに新たな戦いの場を用意することになる。この米政府による厄介ごとの東遷は、中間選挙を前に、米國內の政局が不安定になっている故の政治的焦燥の現れと言える。CIAでアナリストを務めたジョンソン氏が言うように、共和黨は「『民主黨へ投票することは中國に投票するのと同じだ』という筋書きを作ろうとしている」のだろう。
米國の新興ニュースサイトAXIOSの報ずるところによれば、米政府は現在大規模なアンチ中國キャンペーン*1の準備を進めており、米『フォーリン・ポリシー』誌は、米軍は七千億米弗を投じて対中戦略の転換をはかって行くとの情報を掲載*2している。現在の米國の対中政策はまさに「接觸と制止」の両者を並行する手法からブレイクスルーし、政治的制約、ルールによる制約、外交的封じ込め、経済的高圧、軍事展開への準備という「全面競爭」への立體的展開へと進化を遂げている。
ここで注目すべきは、まず、最近三ヶ月、中國空軍機や海軍軍艦の台灣周辺でのミッションが一時休止し、台灣海域の政治的動向は冷え込みつつも、危険性は増していない點である。米軍がここ最近、南海、台灣海域、太平洋の各地で大規模な軍事演習を行っていることは、米國の中國大陸への挑発と政治的ボトムラインを探る明白な動きであり、中國側のリアクションを引き出し、米國の他分野におけるゲームでの交渉の餘地と自由度の獲得を狙ったものだ。
次に、米國は台灣の「守り神」ではない點だ。蔡英文の虎の威を借る行いは自らの未來を斷つものだ。米國は台灣を「中國を押さえ込むための『戦略上のコマ』」と考え、台灣島內の「台灣獨立」派である緑陣営の唱和を誘った。台灣地區の指導者蔡英文が発表した「シンプル版ペンススピーチ」と呼ばれる「雙十談話」はその一つだ。
しかし、米臺関係が如何に「アップグレード」しようとも、「台灣獨立」派の緑陣営の人點が如何に「米臺親善」への想像に傾こうとも、彼らはホワイトハウスの「アメリカ・ファースト」の枠組みから逃れることはできない。トランプ政権は誕生から二年経たないうちに、台灣への軍備売卻に関する法案を批准、米臺間での軍備売卻の「常態化」と軍需産業の融合を進めようとし、米國の政界からも米臺貿易関係の強化を求める聲が絶えず上がり、台灣に米國産豚肉、牛肉の市場開放を求め、米國の農産品を買うことを求めているが、これらの本質は台灣から「みかじめ料」を取ろうとしているに過ぎない。
米國の台灣海域の専門家シェリー・リガー教授*3は蔡英文らに向け、「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプは台灣の「頼れる、オフィシャルな盟友」ではないとの忠告*4をしており、米國が戦略的縮小と対外政策が自己中心的傾向を増す中、台灣のご機嫌取りのようなリップサービスや軍備での満足感は確かに與えてくれるかも知れないが、「台灣獨立」において火中の栗を拾い、「実質的犠牲」を払ってくれるかどうかはまた別の問題だ。
現実から言えば、トランプ政権の対台灣政策は台灣を米國の戦略利益の物質的見返りの提供者と「政治的薬味」として利用することにある。そして、台灣島內の各サイドは米國の台灣海域情勢への鑑賞に極めて複雑な心境におかれている。それは、緑陣営は漁夫の利を得るかも知れないが、台灣全體から考えると、それは更に多くの、更に大きな変數を抱えることでもある。なぜなら、もしもトランプ氏側が台灣に隠れて大陸と「握っても良い」と判斷したならば、この二年足らずの間に繰り返されてきた様點な狀況と同じように、台灣の利益は一瞬にして葬り去られることになるからだ。
この意味から考えれば、「台灣獨立」という思想は、台灣を危険に曬す災禍の根源だと言うことができるだろう。(劉匡宇・中國社會科學院台灣研究所アシスタントフェロー)
[註]
1) The Trump administration's secret anti-China plans
https://www.axios.com/trump-administration-anti-china-campaign-2c17776d-ad80-4a79-b6a7-912927059833.html
2) U.S. Puts Money Where Its Mouth Is on China
https://foreignpolicy.com/2018/10/08/u-s-puts-money-where-its-mouth-is-on-china/
3) シェリー・リガー(Shelley Rigger, 一九六二年三月二十三日〜)。米ノースカロライナ州にあるデビッドソン・カレッジの教授(東アジア政治學)。
4) Shelley Rigger, Donald Trump is No Friend of Taiwan
https://www.fpri.org/article/2017/03/donald-trump-is-no-friend-of-taiwan/