北京
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23/19
うららかな秋晴れが続く10月の北京。今週の中國メロディーは、今年、中國で大人気を集めているSF映畫「流浪地球(さまよえる地球)」と、映畫の挿入歌をご紹介しましょう。
「さまよえる地球」~宇宙の敘事詩~
今年2月の春節連休中、「さまよえる地球」は売上高42億元(約672億円)で、數多くの映畫の中でトップに立ち、中國SF映畫の超大作となりました。この原作は、過去に大ヒットしたSF小説「三體」で知られているSF作家・劉慈欣の同名の小説です。
太陽の力が衰えて太陽係が宇宙に呑み込まれ、地球が危機を迎える中、各國は連合政府を結成し、世界各地に合わせて1萬台もの巨大なエンジンを設け、地球全體を他の太陽係に移す計畫を開始します。この壯大な計畫を実現するため、數えきれない人點が感動的な物語を綴り上げます。家族の愛、仲間との絆、団結、希望といったポジティブな要素が詰まった作品で、「宇宙の敘事詩」と讃えられています。
この中で、挿入歌やBGMが映畫を彩っています。中でも主題歌の「星」は、単純な歌詞と緩やかなメロディーが歌手・楊宗緯の素晴らしい歌聲とあいまって、家族の深い愛情が感じられます。楊宗緯の低く沈んだ歌聲は獨特な味わいがあり、心を溫める魅力が溢れる一方、孤獨やどうしようもない哀愁も漂います。
中國らしいSF映畫
今年は、中國の映畫史上でSFが赤丸急上昇、といった年になりそうです。春節の連休で、最も人気を集めた「流浪地球(さまよえる地球)」と「瘋狂的外星人(狂った宇宙人)」は、いずれもSF小説家・劉慈欣の小説をモデルにしたSF映畫です。
劉慈欣の代表作「三體」は、中國人なら誰もが知っている大ヒット小説で、三部作あわせて2千萬部を超すベストセラーです。2015年、その英訳版がアジア人作家として初めて、SF界最大の賞・ヒューゴー賞を受賞しました。そんな劉慈欣の「流浪地球(さまよえる地球)」は、中國らしいSFのロジカルなアイデアを示すものです。例えば、巨大な災害を前にした際、西洋のSF映畫のようにすべてを投げ出して逃げ、新しい家を探しにいくのではなく、愛著を持つ土地、人類の故郷の星・地球とともに宇宙へ、未來へ飛んでいくと決めます。劉慈欣は「地球とともに宇宙旅行することは、中國人が故郷や大地を戀しがる気持ちを現した」と話しました。
「流浪地球(さまよえる地球)」の監督を務めた郭帆は「われわれの文化を背景とするこの映畫を子供たちに見てもらい、心に想像の種を撒いて一歩一歩進んでほしい」と話しました。
SF映畫における東洋と西洋の共通點・家族愛
映畫「流浪地球(さまよえる地球)」は、東洋文化の存在感が強いと見られています。中國らしい親子の愛情は多くの観客を感動させました。エンディングで、広大な宇宙で飛行士の父親が宇宙船に乗って地球を遠く見守るとともに、地球の大地にたたずむ息子も大空を眺めます。親子の間で、広い宇宙を通して心を通わせるシーンを見て、多くの観客が感動の涙を流しました。
どの國にも、故郷や家族に名殘を惜しむ気持ちがありますが、東洋の文化では土地への愛著が一段と鮮明であり、これは5000年にわたる中國の農耕文化と関わっているのでしょうか。海洋文明を背景とする西洋文化やアメリカの移民文化は、「ジプシー生活」であり、アメリカのSF映畫の「インターステラー 」は新しい故郷を求める事を描いたものです。
西洋のSF映畫も東洋のSF映畫も共通しているのは、地球を救うのは家族の愛だ、といったものです。家族の愛は言葉や文化の差を乗り越えて、人點の心を繋ぐ絆となります。これは、「流浪地球(さまよえる地球)」が中國映畫として北米最大のヒット作品となった理由でしょう。
番組の中でお送りした曲
1曲目 星(ほし)
この歌はSF映畫「さまよえる地球」のテーマソングです。
歌詞:
千萬光年の愛はいらない
帰って死ぬまで一緒にいよう
2曲目 有種(勇気)
この曲はSF映畫「さまよえる地球」の挿入歌で、若手歌手・孟美岐が歌ったものです。リズム感あるメロディーが決してくじけない力強い歌聲と相まって、映畫「流浪地球(さまよえる地球)」の、困難に負けず、勇気を持って前へ突き進もうというメッセージを表しました。
歌詞:
世界に自分に失望し
逃げて諦めて無念を味わうも
今の私 逃げたくない
運命に負けない
私には勇気があるの
3曲目 去流浪(放浪へ)
この歌はSF映畫「流浪地球(さまよえる地球)」の挿入歌です。
歌詞:
微笑んで放浪していく
家はドキドキする心の中に
ダイヤのような希望
心の底に咲いている