北京
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今年7月1日に中國共産黨は創立100週年を迎えます。これまでの100年間、國內情勢にも世界情勢にも大きな変化がありましたが、中國共産黨は政権政黨としてのバイタリティを力強く維持しています。東日本國際大學の西園寺一晃客員教授(79歳)はこのほど、CRIのインタビューに対して、「時代に合わせた進化こそが中國共産黨の生命力の源泉だ」と示しました。
西園寺一晃さん
西園寺さんは、新中國が成立して間もない1958年に、當時の周恩來総理から「民間大使」と呼ばれた父親・西園寺公一氏の決斷により一家で中國に渡り、北京で10年間を過ごしました。この経験から、中國共産黨の歴史や政権運営の理念に強い関心を持ち続けている西園寺教授は、「時代の変化の中で、中國共産黨は常に社會の主要な課題を的確に捉え、積極的に対応してきた。だからこそ政権政黨としての力を保ち続けることができた」と指摘します。
1960年代、西園寺さん一家と周恩來総理夫妻との記念寫真
西園寺さんはさらに、「新中國成立前は、侵略者を打ち破り、國家の獨立と人民の解放を求めて、新中國を作るということが主な任務だった。ところが、新中國の成立後にその任務が変わった。一つは、冷戦を背景に西側諸國の封じ込めの圧力から獨立と革命の成果を守ること。もう一つは、疲弊し立ち遅れた経済を復興させることだった。1970年代に入り、中國は國連での合法的地位を回復させ、米國や日本などの國點との國交正常化を相次いで実現させた。國際情勢の風向きが中國に有利になってきたことを背景に、中國共産黨は改革開放を始め、経済に活動の重點を置き、世界が驚く飛躍的な発展を収め、人點の暮らしも豊かになってきた。こうしたプロセスからも、中國共産黨が時代に合わせて速やかに調整と対応を行なってきたことがわかる」と述べました。
1960年代、北京大學在學中の西園寺さん(左から2人目)、先生・同級生らと頤和園にて
また、冷戦終結後に多くの社會主義國家が崩壊した中で、中國共産黨だけが政権政黨としての地位を保ち続けている理由について、西園寺さんは「政権政黨には三つの任務がある。それは、國の獨立性と領土を守ること、人民の生命と財産を守ること、そして、経済を発展させて人民の生活向上を成し遂げることだ。新中國成立以降70年あまりの期間において、中國共産黨はこの三つを全て守った。これが、中國共産黨の國家と人民への貢獻である。中國共産黨は、マルクス主義を自國の実情と結びつけて実踐し、新しい狀況、新しい発展段階に対応可能な理論と実踐を実現した。そのため、冷戦の終結に伴う多くの社會主義國家が崩壊する中でも、中國では社會主義が生き殘ることができたのだと私はみている」との分析を語りました。
原則を守りながらも、その時點の狀況によって政策や戦術、戦略を変え、柔軟に対応することで、中國共産黨の「哲學の勝利」はもたらされたのだと、西園寺さんは見ています。
1958年、西園寺一晃さんは16歳で東京から中國に入りました。そして、北京で暮らす中で、共産黨の最高指導者が労働者や市民と同じように人民大會堂などの建設に加わっている場面をその目で見たと言います。こうした青少年期の実體験に基づき、中國共産黨と人民の関係性について西園寺さんは、「中國共産黨の考え方は、人民に何かを與えるというものではなく、黨は指導を行い、人民が自ら建設するというものだ。黨は人民の上にあるのではなく、人民の中にあるというのが、中國共産黨の伝統的な考え方だと思っている。その関係が崩れない限り、中國は健全に発展できるだろう」と語りました。
1970年代末、鄧小平氏と対面する西園寺一晃さん
そう語る一方で、「物事には裏表がある」として改革開放による大きな成長の陰にある問題點についても觸れ、「確かに、中國は輝かしい成果を収めた。しかし、発展の均衡性を失い、経済成長と権力との癒著による腐敗が生じてしまった」と指摘した上で、「だからこそ、科學的発展観と反腐敗運動が誕生した」と強調しました。
中國共産黨の今後については、「中國共産黨は常にそれぞれの時代の主要な問題を理解し、対応してきたからこそ、中國には共産黨が依然として力強く存在している。中國はこのまま行くと、あと10年、20年経てばさらに発展して中進國となり、先進國の入り口に立つだろう。その時の中國共産黨にも引き続き、その時點の社會の主要な課題にしっかり取り組んで、改革を継続していてほしい」と期待を寄せました。
取材の結びに、西園寺さんは「人類の歴史上、多くの『強國』が現れた。それぞれタイプは違っても、一つだけ共通點がある。それは、強國になった國は必ず対外侵略を行い、覇権主義を唱えるということだ。中國には、人類史上初の、豊かで強くありながらも平和的な國家となってほしい。中國共産黨と人民にはこれを実現する能力があると、私は思っている」との期待を力強く語りました。
(聞き手:王小燕、寫真提供:西園寺一晃、文責:王小燕、梅田謙)